幸せの素
中学生の時に、ある大好きな先生がふとクラスのみんなにこんなお話をされた。当時の自分にとって初めて聴くこのお話し。心が動いた音がした。
長ーいスプーン(お箸)
人がこの世を去った後の世界のことは亡くなった人にしか分からないの世界だろう。ただもし天国と地獄があるとしたらどんな違いなのか。
どちらにも食事時間が存在して、その時に使うスプーンはとっても長さのある使いにくいスプーン。そのスプーンを使って地獄では、なんとか自分はご馳走をたくさん食べることに皆が必至。その使いにくいスプーンを、振り回しながら「お前は邪魔だ」と周りの者と喧嘩をしながらわき目もふらずに悪戦苦闘。結局うまく食べることが叶わないのでいつも空腹で気が立って、やせ細り、周りを見渡せば食べられなかった残飯が散乱し、腐敗臭が漂っている。
かたや天国ではどうだろうか?ごちそうは変わらない。長い使いにくいスプーンも一緒。異なるのはただ、スプーンの使い方と【思いやり】。テーブルに皆が綺麗に並び、テーブルの先に座っている相手の口元に「どうぞ、あーん」とご馳走をたべてもらっていた。「美味しいよ、ありがとう、あなたも食べてね」とお互いがお互いの食事を丁寧に受け渡す。おかげでみんな、いつも食事の楽しさや美味しさを実感しながらそれを共有したり、あたたかい気持ちで包まれている。
天国と地獄の違いは、【ご馳走】でも【スプーン】でもなかった。
これは、死後の世界だけの話ではなさそうだ。